移住・定住を考える その3 今の時代、「定住」をどう捉えるか
今の時代、「定住」をどう捉えるか であるが、一般的には生涯に渡り住み続けることをイメージするであろう。 つまり、終の住処も移住先で求めることになる。 しかし、そうなると、 その2 で述べている住宅双六の崩壊、ライフスタイルの多様化、価値感の多様化が問題となる。 住替え行動が標準化できず、多様性を持って行われることを考えれば、移住してきた世帯をそのまま定住を促すことは難しいということは容易に想像できる。 そうなると、ターゲットとしては以下の2つとなる。 ①終の住処を求める高齢者世帯 ②ライフステージの変化を止めてそれをあがりにしようとする世帯 この2つであれば、移住した後に、住替えを行おうとする動機が生まれる頻度が低いため、定住に繋がる可能性が高い。 しかし、そうなると、出産し、子供を育てて営み続けようとする世帯が大きく抜け落ちてしまうことになる。 この属性の人たちは、更なる住替えを行おうとする動機が生まれる頻度が比較的高い人たちである。 そうであれば、生涯に渡って住み続けるという定住の概念を変えて、 「ある特定のライフステージの期間は住み続ける」 と割り切ってしまう考え方である。 例えば、「子供を出産して義務教育を受けている期間」などである。 発想を変えれば、それ以降のライフステージに突入した際には、逆に住替えがしやすくなるような支援を行う方が居住地選択として選択されやすいのではないかと考えるのである。 つまり、「定住」というものを、特定の属性を持った世帯にターゲットを絞り、特定のライフステージの期間に限定して住み続けてもらうこととして捉えれば、政策も打ちやすくなる、という発想である。 さらに、住宅ストックの視点で捉えれば、あるライフステージの期間において居住が行われ、正しいメンテナンスを促すことにより、市場性が保持された状態で、次の移住者を迎えることができることになる。 この考え方に立てば、需要と供給のマッチングもしやすくなる。 空き家の利活用についても、ターゲットを明確にできさえすれば、官民連携体制により、計画的な利活用に誘導しやすくなる。 ライフスタイルの多様化 とか 価値観の多様化 と言われている中、「定住」の概念も変えていく必要があるのではないでしょうか? kuwalab小沢理市郎...