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8月, 2023の投稿を表示しています

会津というまち

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 会津若松は高校まで過ごした私の故郷です。 子供のころの思い出は、とにかく”雪”です。 朝になると、二階まで雪が積もっていて、サッシが凍って空かないので、 お湯を沸かしてサッシのレールを溶かすことから始まります。 屋根から地面に穴をあけるような勢いで氷柱が一晩で成長するので、金属性のスコップでそれを砕きにかかります。 小学校に通学するにも一階から外に出られないので、二階の窓からスキーを履いて地面までたどり着いたのを覚えています。 そんな会津の冬なのですが、なぜか半ズボンで過ごしていました。 「寒さには強いのでしょう」とよく言われるのですが、関東に住むようになって、とても寒がりになりました。不思議なものです。 高校は、地元の進学校に入学したのですが、毎年東大合格者を出しているような高校ではありますが、とにかくバンカラな男子校でした。あの当時は、それが普通といいますか、そういうものだと思っていたのですが、大人になっていろいろな方にその当時のお話をすると、びっくりされるので、こちらがびっくりでした。 會津藩校である日新館は、孔子の教えを礎にしておりますので、私の通った高校では、高校のすべての施設に「学而」という言葉がつきます。 講堂は学而(がくじ)会館、なんと敷地内にある池も学而(がくじ)池と呼んでいました。 そして、教えられたことはこれだけです。 ならぬことはならぬ まけてはなりません 今となっては時代遅れと言われるかもしれませんが、今の私もその時代遅れのまま大人になり、今を生きています。 さて、会津のまち、ですが、行かれた方はわかると思いますが、とても不思議な空間です。 まずは、道路です。とにかく運転手泣かせで、一方通行だらけ。さらには武者隠しと言われる道をそのまま道路にしているので、交差点の先に何があるのかが見えないのです。 一言で言えば、細くてカクカクうねっている道なのです。 言い方を変えれば、視界が開ける度に、新しい街並みとの出会いがあります。 そんな道と当たり前のように一体化しているいわゆる蔵造のまちなみが続く中で、ふっと大正建築が現れます。 それがなんといいますか、人工的には再現できない新しさを感じるのです。 そんな会津のまちも老朽化が進み、地場の伝統工芸も衰退し、まちの元気も落ちるところまで落ちていた時期がありました。 そんな中、地元有志に加え、外...

まちづくりの担い手 タガヤスとは

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 まちづくりの専門家 まちづくりのプロ まちづくりの担い手 どのような表現が適切なのか迷っているところですが、 日本の各地には、本業を持ちながらも、その本業を通して、また本業とは関係がなく、 地域課題に向きあい、地域のために活動している方々がたくさんいらっしゃいます。 まちづくりとは、それを本業としているコンサルタントや事業者だけでなく、そのような方々の活動に支えられている姿こそがあるべき姿であり、持続可能な姿であると思っています。 よって、見方を変えれば、そのような方々こそが、まちづくりの専門家であり、プロであり、担い手ではないか、と思うのです。 そのような方々は、ほとんどが手弁当で、忙しい仕事の合間や休日を使って活動されており、かかる費用も自己負担していることが多いのです。 私は、長い間、全国のそのような方々とお付き合いをしてきましたが、当たり前のように活動されている姿を見て、それが普通のように感じていました。 しかし、このような方々こそが、今の時代では正しく評価されるべきであると強く思うのです。 そんな思いから、鍬型研究所を設立する以前から、タガヤス協議会という任意の組織活動を行っていました。 これは、私が親しくさせていただいている各地のまちづくりの担い手に参加いただき、持ち回りの勉強会からスタートした集まりです。 そして、ようやく思いがカタチになり、今年6月に「一般社団法人タガヤス」の設立に至りました。 現在は、理事3名の名前で登記している状態ですが、タガヤス協議会のメンバーにも参画してもらい、まちづくりDOタンクの機能を担っていきたいと思っています。 タガヤスは、鍬型研究所の上位のレイヤーにあり、鍬型研究所もタガヤスの一員となります。 タガヤスでは、本業を持ちながらも、真摯に地域課題に向き合って活動されている方々の活動内容を広く発信し、社会的に正しく評価されることを第一の目的としています。 また、参画いただく皆様は、それぞれが本業をバックボーンとしたユニークな経験やノウハウ・スキルをお持ちですので、それらを全国の皆様にお使いいただくことを考えております。 本年度、ご提供できるサービスやまちづくりツールをじっくりと開発していきます。 また、本年度中には、ホームページも開設していきます。 オープニングイベントなども考えておりますので、その際は是非、遊び...

リサーチの技術 その5 ライフステージ・ライフスタイルとシチュエーションと住宅双六

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 仕事の特性上、下記のようなお題を頂き、検討を行うことが多くあります。 市場であらたに登場した商品が、正しく社会に定着していくのか、どのようなトラブルが想定されるか 既存の仕組みをアレンジして、こんな社会ニーズや課題に対応したいのだが、アレンジ可能か、需要はありそうか、その場合にどのようなトラブルが想定されるか 私は、住宅・不動産が専門領域ですので、上記したようなお題もその領域に関連したものとなります。 例えば、20年ほど前になりますが、リバースモーゲージがその典型です。 リバースモーゲージは、主に高齢者が所有する住宅を担保として、生活資金を中心とした月々の融資を受け、契約終了時(利用者の死亡時等)に、担保となっている不動産を売却して一括返済する、というのが典型的なスキームでした。 当時は、首都圏を中心とした自治体が展開しており、社会福祉政策の側面が強くありました。 この仕組みは、すでに所有している不動産をキャッシュに転換していく金融の仕組みなのですが、この仕組みがアレンされ、新規で住宅を購入するための資金調達方法として住宅金融支援機構により商品がリリースされ、利用が進んでいます。 (ちなみに、20年ほど前、私はこのスキームとほぼ同じものを考え、同時所属していた研究所からレポートをリリースしています) 昨今では、残価設定型住宅ローンが同様な検討の対象になっているのではないでしょうか。 さて、タイトルに戻りましょう。 リサーチの技術としての「ライフステージ・ライフスタイルとシチュエーションと住宅双六」です。 一番初めに箇条書きで示したよくあるお題を検討するにあたって、あまりにもお題の内容が漠然としているため、まず行うことが「活用シチュエーションの検討」です。 これは どんな場面で どんな人たちが どんな切欠、理由で 興味を持ったり使ったりするのかを検討するわけです。 マーケットセグメントをとることに似ていますが、何か綺麗な軸によりセグメントが取れるとも限らず、個別個別の典型シチュエーションを検討していきます。 そして、得られた個別個別のシチュエーションを徐々に統合して再構築していくのです。 さて、再構築という言葉がでました。 この言葉は、 リサーチの技術その2 で書いていますが、再構築する前に「分解」という作業が行われます。 箇条書きのお題に対してどのような分...