投稿

1月, 2024の投稿を表示しています

リサーチの技術 その6 事例から学ぶこと 事例の個別性にとらわれるな

  事例の個別性、特殊性にとらわれるな! 社会問題、地域問題に対しての対策を考える際には、その問題の構造を分解して分析し、それを再構築することについては リサーチに技術 その2 で解説している。 ここでよく問題となるのが事例の取り扱いである。 よくこんな議論がある。 空き家はなぜ生まれるのか、空き家が発生しない対策が必要だ とのお題に対して、 親の家を相続した相続人が遠方に住んでいるケースがある とか 住み替えを行って前の家を放置してしまっているケースもある とか こんなケースもある あんなケースもある といろいろな事例をあげて解を導こうとするのだ。 いろいろな個別性をみることはある意味楽しいし、話題性もあり、記事にもなりやすい。 しかし、これらのいろいろなケースというのは、空き家問題が大きな社会問題になる現在だけの現象ではなく、人々が通常の営みや経済活動を行っていれば起こりえることであり、一つ一つにそれぞれの背景がある。その背景を深堀すれば無限の個別性が生まれる。 その個別性にとらわれてものを考えると、どうなるか。 「考えること、やることがたくさんあって、とても難しい」 となるわけだ。それ以上は先に進めなくなる。 このような 個別性に対してものを考えると、その結果は個別性に対する対処療法 にすぎず、根本的な対策とはならない。 もちろん、個別性の強い個別課題への対策が求められた場合には、 その個別性をできるだけ深堀すればよい。 事例から何を学ぶか 個別性が凝縮されている 個々の事例に横ぐしをさし、普遍的な共通項を抽出 するのだ。それを通して、世の中で、この地域で何が起こっているのか、なにが問題なのかの全体像を把握しようとすることだ。 だから、事例情報はたくさんあるとありがたいのだ。 しかし、決して個別性を見るためではない。共通項を抽出するために必要なのだ。 そして、 この共通項に対しての対策を考えることが優先 されるのだ。 先ほどの空き家の話を例にとると 共通項は、「結果的に空いている状態になること」であり、その背景に個別性があるにすぎない。 空き家になる一つ一つのケースに有効な対策を打ったとしても、 そもそも、家の数よりも、住む世帯の数が少ないので、どちらかが埋まれば、どちらかは空くのである。根本的な解決にはまったくならない。 この「空いている状態」を問題...

どう行動すべきか

 あけましておめでとうございます。 kuwalabは本日から仕事を開始しております。 しかし、たいへんな新年の幕開けとなりました… なぜ、この日に… 私の親兄弟が新潟市内に住んでいるため、まずはLINEでつながっている兄に連絡し、状況を確認しました。 親は80歳を過ぎており、電話の呼び出し音も聞こえにくい状態なため、近くに住んでいる兄を通して状況を確認しました。 なぜ、親に直接電話をしなかったか、というと、 津波警報が出ており、避難の必要性があったため、直ぐに兄から親に連絡が入ることを想定し、こちらからの通話で通話中の状態になることを回避したかったからです。 大規模な津波の被害は各地で免れたものの、その被害は甚大なものでした。 こんな時、リアルタイムで情報を見るにはSNSが一番早いので、Xで様々な投稿を見ておりました。 すると、影響力のあるインフルエンサーや有名人が、一般車両に物資を積んでボランティアに向かうとの投稿が目に入りました。 勇気ある行動 今は入るべきではない 賛否両論の書き込みがされています。 しかし、インフルエンサーや有名人は、”何もしないやつが文句をいうな”、と現地に向かったわけです。 なによりも、驚いたのは、 他に者たちにも、”ボランティアとして現地に向かおうよ”、 と被災現場へ向かう旨を誘導していたのです。 当然ながら、現地ではボランティアの受入れ態勢もできておらず、 救命、消防、道路復旧の車両が最優先の状況です。 また、ガソリンも不足しており、土砂崩れなどの二次災害の危険性もあるわけです。 インフルエンサーや有名人の呼びかけに呼応し、被災現場に向かった一般人が二次災害にあう、車が故障して緊急車両の妨げになる、渋滞を巻き起こす、現地で対応する行政職員の手を煩わす、窃盗団などの車両を紛れ込ませる、などの悪影響は考えればわかるはずですし、なによりも、現地から”今は一般のボランティアはこないでくれ”とアラームがでているわけです。 それでも、”何もしないよりまし”論を通してしまうところが。。 ボランティアを否定しているわけではありませんし、 勇気ある行動とその行動力はたたえるべきことだし、 少しでも物資が届けられたところは救われたでしょう。 しかし、現地が受け入れできないとアラームを出している中、 他の者の被災現場入りを誘発するのは、やはり間違っ...