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まちづくりの効果をどう測るか

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まちづくりの効果をどのように測るのか これは、私たちが長い間、問いかけられてきた課題です。 今現在でも、明確な答えは持ち合わせておりません。 まず、このことを考える際に、効果測定の対象となる「まちづくり」とはいかなるものか、それをパリッとさせる必要があるのですが、それがどれだけ難しいかは容易に想像がつくでしょう。 まちのゴミ拾いをしても、まちづくりと言えるでしょうし、面的な開発をしてもまちづくりなわけです。  そうなると、アクションの特性や、アクションが行われている場所の地域特性を踏まえて、個別個別に測定の仕方を考えていくことになるわけです。 それは仕方がないとしても、それぞれでまったく異なる方法により、異なるスキル技術により行われていたのでは、比較することもできません。 そこで、なんとか考え方くらいは整理しておく必要があるよね、ということで、これまでもいろいろ研究がされてきたわけで、現在もされているのです。 私は、不動産を切り口とした話の展開が得意なので、まちづくりも不動産の利活用を切り口としたまちづくりを例にあげて考えてみたいと思います。 例えば、こんなことを想定してみましょう。 ************* ある地域の空き家が魅力あるカフェになり、そこで提供されるパスタがとても美味しく、スタッフの若者がとても魅力的であり、遠方からも人が訪れるようになる。 それを起爆財として、周辺のお店もきれいにリノベーションされ、空き家も次々に利活用される。 ************ この効果として、一般的に考えられるのは、観光客の増加や消費額、関係人口の増加、そして、空き家のリノベーションで地域におちる投資額などがあります。 リノベーションがされればされるほど、地域にお金がおちていくわけです。 しかし、ここで冷静に考えてみます。 このように点のまちづくりが面として展開されている効果としては、地域の魅力向上がもっともわかりやすいでしょう。 では、その 地域の魅力向上とは何も持って測ればよいのか。 例えば、観光客を呼び込むのに、 「地域の魅力」の量、「建物の魅力」の量、「サービス」価値の量、「人の魅力」の量があるとします。 一人を呼び込むのに、それぞれがある一定量が必要であるとします。 これを一人を呼び込むための原単位と考えます。 点のまちづくりが面に広がり、集積していく...

社会的インパクト不動産について考えてみる その2 ロジックモデルとは??

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  前回のブログ では、社会的インパクト不動産の概要について、国土交通省のガイドラインをもとに、ESGやSDGsとあわせて解説しました。 最後にロジックモデルについて少し触れましたが、本稿ではそのロジックモデルについて解説してみたいと思います。 少し長くなりますが、お付き合いください。 ロジックモデルとは? ロジックモデルの解説は、各所で行われていますが、実務ベースで扱ってきた経験を元に、私なりの解釈による説明を行いたいと思います。 ロジックモデルは、社会的インパクト不動産のためにつくられた技術ではありません。 ロジックモデルという名称は使わなくとも、シンクタンクなどを中心に、日常に業務において調査研究を組み立てる際によく用いられています。知らず知らずにロジックモデルの考え方で仕事を進めている場合もあります。 ロジックモデルにはあるルールがありますが、基本的考え方としては、「これをするとこんなことが起こる」「こんなことが起こるとこんなことも起こる」「そうすると、徐々にこんな変化が生まれる」というように、何か行動を起こす、何かをつくることによっておこる変化や影響を論理的な思考により考えて、フロー図の形で表現していきます。 政策を扱う研究所では、この政策をこの対象に投入すると、こんなことか起こって、こんな変化があって、こんな効果が生じるよね、と考えていくわけです。 それで大丈夫?ロジックモデル ここで疑問に思われる方がいるかもしれません。 「こんなことが起こって、だからこんなことが起こる、その関係を統計的に証明しなくてもよいの?」 もちろん、その因果関係を統計的に証明していければベストです。 それができれば、わざわざロジックモデルを作成する必要もないのです。 しかし、多くの場合には、起きた事象とさらに起きた事象のぞれぞれの量や変化を数量として捕捉していくことは困難であり、その関係性を統計的に証明するのはもっと困難なわけです。 だからと言って、勝手な思い込みや想定によってロジックモデルをつなげていくことはとても危険です。 言ってしまえば、そのプロジェクトに関わっている者や、そのプロジェクトの影響を受けるであろう人たちのほとんどが、「あ、そうだよね、その通りだよね」と納得できることが大切なのです。それが「対話」です。 その対話によって、ほとんどの人たちが納得できれば...