投稿

5月, 2023の投稿を表示しています

リサーチの技術 その2 分解と再構築

イメージ
リサーチにおける「分解」と「再構築」  前回は、リサーチにおける1から10をご紹介しました。 1,とはお客様に初めて接触し、抱えている問題課題をお聞きし、お題をいただくステップです。 この時に、1から10のうち、9くらいをイメージして、3,5,7を組み立てていくことになります。 (詳しくは前号をご参照ください) 今回は、その3,5,7についてご紹介します。 3,5,7とは、ぼやぼやっとして、カタチや色がわからないものを一度分解して再構築するプロセスとなります。 ぼやぼやっとしているものは、そのままの姿を何度凝視しても、カタチや色はわからないままです。 この姿のまま、カタチや色を浮かび上がらせようとしても失敗に終わることが多いのです。 そこで、一度、 分解 します。 この 分解のプロセスで勝負が決まる と言っても過言ではありません。 どのような切り口で分解するか。それが勝負なのです。 切り方は与えられた課題によって異なります。 わたしは住宅や不動産を専門領域にしていましたので、まずは 需要と供給に切ってみる ことをよくしていました。 次に、需要と供給の実態はどうなのか。 需要サイドは、本当は何を求めているのか、供給サイドは今後どのような戦略をもっているのか、 つまり、 実態と意向でさらに分割 してみる。 これで4分割です。 次のステップです。 では、分解されたそれぞれのピースごとに、カタチや色を浮かび上がらせる適切な方法を考えて実践します。 分解することにより、より論点が明確になりますので、アプローチもヒットしやすくなります。 例えば、文献調査、アンケート調査やヒアリング調査、データを用いた定量的分析などアプローチはいくつもありますが、それらを組み合わせて行っていきます。 すると、ピースごとに、角や辺、色がぼんやりと見え始めてきます。 角が見え始めたら、その角度をできるだけ鮮明にするための分析をさらに行います。 辺や色も同じように深堀の分析を行っていきます。 ある程度のカタチや色が見えてきたところで、分解したピースを合体させてみるのです。 これが 再構築、 3,5,7のプロセスです。 もちろん、鮮明にカタチと色を浮かび上がらせることは難しいのですが、水色の平行四辺形が最も近い、という判断を行うことができるようになります。 最後に、他に考えられるカタチと色の可能...

リサーチの技術 その1  リサーチの1から10

イメージ
 リサーチの1から10 わたしたちの仕事とは、カタチや色がぼやぼやっとして、よくわからないモノの提示を受けて、このカタチはなにか、この色はなにかを明らかにせよ。 と言われるようなものです。 少なくとも、カタチや色を判断する材料くらいはみつけなければなりません。 よくわからないモノの提示を受けて、これはここまで出来てお幾らくらいですね、と、見積額を提示するわけですが、よくわからないモノを見せられて、 なぜ見積額が出せるのか その時に、どのような頭の使い方をするのか 実際にどのようなアプローチをとるのか なぜ契約期間の中でアウトプットが出せるのか など、多くの方が疑問に思うことをご紹介していきたいと思います。 1から10とは、お客様と初めて接触してお題に関する話をうかがったり、こんなお題があるんですが誰かやりませんか?という「公募」情報をみた時を「1」とすると、調査研究・コンサルティングが終わり、成果報告を行った時を「10」とイメージしてください。 最も大切なステージは「1」です。 こんなことをやりたい こんなことできますか? というお話を伺った際、 頭の中では、1,3,5,7,9 くらいの粗いイメージを描きます。これはお客様のお話をうかがっているとほぼ同時のタイミングです。 イメージする順番は、 1→3→5→7→9 ではなく 1→9→3→5→7 の順番となります。 3,5,7は、具体的なリサーチスキルを用いて作業をしている工程です。 10に近づくほど、取りまとめに入るわけですが お客様のお話をうかがっている最中、もしくは直後には、報告書の「まとめ」の章の文章が半分くらいは頭の中で描かれています。 もちろん、3,5,7の分析結果がでていなので、カタチは四角なのか丸なのか、色は青なのか赤なのかはわかりません。 しかし、今見えている物体の粒度はこのくらいだから、こんなアプローチをとってみた、とか、四角だったら、青だったらお客様にとって、社会にとってどのような影響があるのか、 などを幾つかのパターンでイメージします。結果がでればそれを最後に置けばよい、くらいのイメージです。 9のイメージがなんとなくできたら、あとは具体的にどのようなアプローチでカタチや色を導いていくかの方法論を組み立てていきます。 なぜ、9が先かといいますと、もちろん無限の時間とお金と人工があれば、 ...

Kuwalab始動!

イメージ
Kuwalab始動!   kuwalabのホームページも無事にできまして、 5月1日に登記申請も完了しました。 そして、まだ暫定版ながら名刺も手元に届き、いよいよkuwalab始動です。 この名刺、HP同様に ヤギサワベース の中村さんにデザインしていただいたのですが、とても好評なのです。 本当にかわいいですよね。 本日早速、大手町でお仕事の打ち合わせをしてきましたが、ここまで来るまでにたくさんの方々のご支援をいただきました。 この場を借りて、改めて御礼申し上げます。 さて、このクワブロですが、Kuwalabの活動のご紹介を中心に展開してきたいと考えておりますが、 次号から少し連載で、「リサーチの技術」について触れていきたいと思います。 わたしたち、シンクタンクの人間の仕事とは、カタチや色がぼやぼやっとして、よくわからないモノの提示を受けて、このカタチはなにか、この色はなにかを明らかにせよ。 と言われるようなものです。 よくわからないモノの提示を受けて、これはここまでできてお幾らくらいですね、と、見積額を提示するわけですが、よくわからないモノを見せられて、 なぜ見積額が出せるのか その時に、どのような頭の使い方をするのか 実際にどのようなアプローチをとるのか なぜ契約期間の中でアウトプットが出せるのか など、多くの方が疑問に思うことを解説していきたいと思います。 よくわからないモノの提示を受けたときに、どれだけクイックに、一定の確度をもってアウトプットまでのイメージを描けるか これで、わたしたちのような人種の実力が測れるのです。 「リサーチの技術」第一回目は「リサーチの1~10」です。 よろしけばご覧いただければと思います! Kuwalab小沢