リサーチの技術 その1  リサーチの1から10

 リサーチの1から10


わたしたちの仕事とは、カタチや色がぼやぼやっとして、よくわからないモノの提示を受けて、このカタチはなにか、この色はなにかを明らかにせよ。
と言われるようなものです。
少なくとも、カタチや色を判断する材料くらいはみつけなければなりません。

よくわからないモノの提示を受けて、これはここまで出来てお幾らくらいですね、と、見積額を提示するわけですが、よくわからないモノを見せられて、
なぜ見積額が出せるのか
その時に、どのような頭の使い方をするのか
実際にどのようなアプローチをとるのか
なぜ契約期間の中でアウトプットが出せるのか
など、多くの方が疑問に思うことをご紹介していきたいと思います。

1から10とは、お客様と初めて接触してお題に関する話をうかがったり、こんなお題があるんですが誰かやりませんか?という「公募」情報をみた時を「1」とすると、調査研究・コンサルティングが終わり、成果報告を行った時を「10」とイメージしてください。

最も大切なステージは「1」です。
こんなことをやりたい
こんなことできますか?
というお話を伺った際、
頭の中では、1,3,5,7,9
くらいの粗いイメージを描きます。これはお客様のお話をうかがっているとほぼ同時のタイミングです。

イメージする順番は、
1→3→5→7→9
ではなく
1→9→3→5→7
の順番となります。

3,5,7は、具体的なリサーチスキルを用いて作業をしている工程です。
10に近づくほど、取りまとめに入るわけですが
お客様のお話をうかがっている最中、もしくは直後には、報告書の「まとめ」の章の文章が半分くらいは頭の中で描かれています。
もちろん、3,5,7の分析結果がでていなので、カタチは四角なのか丸なのか、色は青なのか赤なのかはわかりません。
しかし、今見えている物体の粒度はこのくらいだから、こんなアプローチをとってみた、とか、四角だったら、青だったらお客様にとって、社会にとってどのような影響があるのか、
などを幾つかのパターンでイメージします。結果がでればそれを最後に置けばよい、くらいのイメージです。

9のイメージがなんとなくできたら、あとは具体的にどのようなアプローチでカタチや色を導いていくかの方法論を組み立てていきます。
なぜ、9が先かといいますと、もちろん無限の時間とお金と人工があれば、
1→2→3・・と積み上げてもよいのです。
しかし、わたしたちは、1時間働くとチャリンチャリンと課金されていくお仕事です。
お客様には予算の制限があり、また契約書という法的拘束力のある文書の中には契約期間が記されており、その期間の中で成果をあげなければなりません。
それを怠ると契約違反です。

つまり、寄り道する裁量権も暇もないのです。
如何にゴールに向けた最短距離を描くことができるか
それが勝負です。
それを可能とするためには、できるだけ初動の段階でゴールのイメージを持つことがとても大切なのです。

リサーチ&コンサルティングにかかる費用ですが、それは概ね3,5,7のボリュームと難易度に依存します。つまりどんなアプローチでカタチや色を求めていくかという具体的な作業です。
ここがイメージできれば、自ずと必要な人工がイメージできます。
ですから、概算ではありますが、その場でだいたいの費用をお伝えすることができるのです。

お客様によっては、信頼関係のもとに一社のみに相談されている場合もありますし、複数社に声がけしている場合もあります。
お客様からお題をいただいた際、それは、こう考えて、こういうアプローチをとって、だいたいこのくらいの期間が必要で、だいたいこのくらいのご予算ですかね。
といえる場合と
持ち帰り検討します、と言ってレスポンスまで数日を要する場合がありますが
後者では持ち帰り検討している間にも、他社への発注が決まってしまう場合があるんですね。
なので、「1」は私たちにとっても大切なステージなわけです。

では、成果を導出するための具体的なアプローチである3,5,7をどう組み立てるのか。
ここでミスれば当然ながら良い成果がでません。
次回は、「分解と再構築の3,5,7」
と題してご紹介したいと思います。
よろしければご覧ください。


kuwalab小沢

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