空き家の数が増えました 数が増えることが問題?
空き家が増えた
5年に一度実施される住宅・土地統計調査(総務省)の速報値が発表されました。
この調査は、国内で唯一、日本の住宅ストック及び居住している世帯を調査しているもので、世で使われている空き家数とか、空き家率は、この統計を元にしています。
世の中的に、何と言っても注目されるのは空き家数。
調査結果が公表されるごとに、様々なメディアが取り上げます。
最新調査である令和5年調査の速報値が令和6年4月に報道資料として発表されました。
そこでは、
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○ 空き家数は900万戸と過去最多、2018年から51万戸の増加、空き家率も13.8%と過去最高
○ 賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家が37万戸の増加
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とのこと。
これまでは、一般の民家で売買にも賃貸にも出されておらず、別荘などの二次的目的にも使われていない、いわゆる「空き家」を統計上は「その他の住宅」として表示していましたが、令和5年調査から「賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家」と名称を変えたようです。
この方がわかりやすいですよね。
結果は、上記の通り、増えた、わけですが、減ることを予想していた人はいるのでしょうか。
様々な方法を駆使して、空き家の発生を抑制したり、利活用や除却を進めることは、ダイレクトに空き家の減少につながっていくわけですが、
人間の需要により建てられた家は、人間の寿命またはそれ以上の年月に渡って存在し続けます。
その家は、毎年、新規で供給されて(建てられて)いるわけです。
つまり、日本の住宅の数(住宅ストック数)は、毎年増加していくわけです。
令和5年の住宅・土地統計調査では、
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○ 我が国の総住宅数は6502万戸(2023年10月1日現在)、2018年から4.2%(261万戸)の増加
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ということです。
一方、住宅に住む世帯数は、今後減少していきます。
家は増えていく その家に住む世帯は減っていく
これは、どうしたって、空き家は発生し続けるわけです。
家というものは、人間の需要、つまり人間の都合により建てられます。
建てられた家は、この世に同じものが一つもありません。複製することもできません。
唯一無二の存在として世に生まれるのです。
そして、そこに住む人たちの暮らし方や手入れの仕方によって、様々な家の人生を送っていきます。
大切にされた家は、とても良い子に育っていきますし、そうではない場合には、ぐれてしまいます。
そして、限りなく環境が近い、仕様が同じ家であっても、まったく別なものに育っていくわけです。
これって、人間の人生と同じじゃありませんか?
空き家の発生抑制や利活用、除却などで空き家が減っていけば、それに越したことがありません。
しかし、空き家が増えたからといって、それだけを悪として捉えることは良くありません。
空き家は増えてあたりまえなのですから。。。
問題なのは、空き家があることにより誰に対して、どのような影響があるのか
ということです。
これを総じて、外部不経済と呼んだりもしますが、要は、空き家が放置されていると、いろいろと地域社会に悪影響がでるということが一番の問題なのです。
しかし、空き家が何万戸あろうが、何百万戸あろうが、悪さをしないよう誰かがきちんと管理さえしていれば、問題が起こる確率はグッと抑えられるのです。
つまり、空き家の数が問題ではなく、放置されていることが問題なわけです。
人の手によって、責任を持って
先ほども触れましたが、家というものは、人間の需要、人間の都合によって建てられます。
その家を、人間の都合によって放置し、挙句の果てに、「外部不経済だ!」と指さされたら、家がかわいそうだと思いませんか?
家は、自らの手で自分を管理できないわけですから。
なんといいますか、、まずは、こういう意識を国民の間で少しでも共有されていかなければ、世帯数が減り続けていくこれからの世の中、この空き家問題という課題に対峙することは難しいと思うのです。
ですが、
もう何年も、何十年も空き家が空いた状態のままにしてあると、それがあまりにも当たり前になって、意識を持つ、ということがとても難しいことはよくわかります。
なにかの切欠が
必要です。
では、座学講座で勉強しましょう。ではハードルが高い。
そこで、私が代表理事をしているタガヤスでは、地域の催し事や家庭内で気軽に遊びながら空き家問題とそれを通したまちづくりを疑似体験できる空き家スゴロクを開発したわけです。
関心をお持ちいただいた方は、是非、鍬型研究所、またはタガヤスのお問い合わせフォームからお問い合わせください。
急がばまわれ
目に見える空き家を一つ一つ対峙していく、これはとても大変なことで、とても大切なことです。
ただし、それだけではこの大きな流れに対峙していくことはできません。
これから相続を受ける可能性がある人たち
これから家を構える可能性のある人たち
そういった次の世代の人たちに、「家」というものをあらためて考え、学んでいく機会を少しでも増やしていく
直ぐに意識の変化がなくても、ほんの少しでも意識レベルを高めていく
そんな地道な活動が必要だと思うのです。
合同会社鍬型研究所 代表社員
一般社団法人タガヤス 代表理事
小沢 理市郎
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