住生活基本計画と空き家特措法と空き家等対策計画
空き家特措法から10年 ~管理の重要性~
空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)が制定されてから10年が経過しました。
昨年には一部改正が行われ、「管理不全空家」という概念も登場しました。
行政サイドとしては、政策的にモニタリングしなければならない対象が増えたわけですが、この「管理不全」をなくす、ということが基本的な空き家対策ですので、政策的に位置づけられたことは大きな一歩だと感じています。
利活用が行われる空き家
除却が行われる空き家
この出口の2つは、空き家の中のごく一部です。
利活用が行われるには、物件のコンディションに加えて、所有者の意志や事業者の参画など様々な条件が整う必要があります。
また、除却についても行政代執行まで踏み切るには、たくさんのステップが必要となります。
つまり、多くの空き家は空いている状態で存続するわけです。
これらがそのうちに周辺環境に悪影響を及ぼしたりするわけですが、
思い切って言ってしまえば、どんなに空き家が増えようとも、きちんと管理されていれば、外部不経済とも言われる悪さをする空き家は生まれてこないのです。
管理不全空家をなくす。これが一丁目一番地でしょう。
行政の空き家等対策計画 いつ・誰が、が大切
その空き家特措法に基づいて、全国の行政は自らの行政区域を対象とした空き家等対策計画を策定しています。
全国すべての計画をみたわけではありませんが、どうも計画としてのリアリティを感じないのです。
たまに「あれ、このフォーマットみたことあるぞ」という計画も散見されます。
空き家対策には、上記したように、利活用や除却と言った出口以外にも、所有者や地域の意識を高める、管理不全空家をなくす、と言った重要なテーマがあります。
多くの計画では、これらについて、「課題」として列挙されていますが、
今すぐにやるべきことはなにか
いつの時点を見据えて何から手をつけるのか
それを誰がやるのか
と言った、時系列的な視点と、主体の視点が欠けている計画がほとんどです。
ご相談で多くいただく内容として「何から手をつけていいかわからない」というものがありますが、計画が策定された段階でも、「何から手をつけていいかわからない」状態になっているのです。
空き家に関する対策計画は、計画モノの中でもかなり難易度の高いものです。
初期の計画ではこのようなカタチでオチがつけられるのもわかります。
しかし、空家特措法ができて10年、そろそろリアリティのある計画をつくる必要があるでしょう。
そして、住生活基本計画の見直し
そして、住生活基本計画の見直しです。
住生活基本計画は計画期間は10年間ですが、5年ごとに見直しが行われます。現行計画が令和7年度で5年の区切りを迎えるため、現在、本格的な見直しに取り掛かっている状況がうかがえます。
見直し・強化の一丁目一番地となるもの、それは空き家問題でしょう。
「空き家」という言葉がダイレクトに使われないかもしれませんが、要は、これだけの住宅ストックをどうするんだ、ということです。
住宅は国土の陸地の多くを占める土地利用で、一国の表情でもあります。
国民の生活の基盤であり、多くの産業も絡んでいます。
大きな網をかけることも必要ですが、原則として個人の財産であり地域の個別性があります。
よって、各自治体が策定する住生活基本計画と、各自治体が策定する空き家等対策計画の連動性をより高めて、基礎自治体での対策を強化していく必要があるのです。
令和6年度、令和7年度、令和8年度
この3ケ年度は、住宅政策、空き家対策にとって重要な年となるでしょう。
鍬型研究所、一般社団法人タガヤスでも微力ながら正面から向き合って参ります。
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鍬型研究所 代表 小沢理市郎
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