自分の地域を見つめなおす大切さ
実はあまり意識をしていない地域の変化
私が代表理事をしている一般社団法人タガヤスでは、昨年、空き家スゴロクなるものを開発し、今年度に長野県松本市・伊那市、埼玉県9自治体で空き家スゴロクワークショップを開催しました。
ワークショップでは、まず、私の方から「空き家問題ってこう考えるのですよ」というお話を15分程度行った後に、1時間弱で空き家スゴロクを行います。
この空き家スゴロクは3枚のボードに分かれているのですが、すべて通して遊ぶと2時間以上かかってしまいますので、1時間程度のワークショップでは、「上流編」のボードを使用します。
上流編:空き家のことを地域で考える
中流編:空き家所有者の意識を変える
下流編:空き家対策からまちづくりへ
空き家といっても不動産ですから、需要と供給の両面があり、それぞれのストーリーがあります。しかし、この空き家スゴロクは、需要サイド、供給サイドの視点ではなく、「地域の景観や環境を形成する住宅」という視点から、地域の一般の方々に参加いただくものなのです。
空き家問題は、建築、不動産、相続、金融など様々な専門知識が必要となる場面がありますが、この空き家スゴロクはそのような知識を学ぶものではありません。
そのような知識は専門家にきけばよいのです。
この空き家スゴロクでは、参加者が居住する地域を見つめなおす機会を提供し、今どのような変化があるのか、地域として何を考え、行動に移せばよいのか、を考えて頂くものなのです。
サイコロを振って、チームのコマを進めていくのですが、まずは「地域の空き家は増えているのかな?」というお題に止まり、参加者全員で考えて頂きます。
するとどうでしょう。
今までそのような視点で地域を見つめなおす切欠がなかったのか、
「間違いなく増えてきた!」
とおっしゃる方もいれば、
「そういえば、〇〇さんの隣が空き家になったって話を聞いたな」
「あの家、ゴミが捨てられているな、と思ったら空き家だったのよ」
「そうだね、たしかに増えているね!」
と様々な発見や認識の芽生えが生まれてきます。
特に、さいたまのような首都圏の自治体では、社会増も維持され、世帯数も踏ん張っているので、普段は意識しないことでも、改めて自身の街を見直すと、様々な変化に気が付いていくのです。
そこで、ファシリテーターが解説を行います。
家は建てられ続ける
一度建てられると、人間の寿命と同じくらい、またはそれ以上に存在し続ける
家に住む家族の数は減り続ける
空いている家が出続けることは仕方がないことなのです
では、それを踏まえて地域では何を考えていかなければならないでしょう と。
地域の環境を自分事・地域事として捉える大切さ
この空き家スゴロクは、「空き家」をテーマとしたスゴロクではありますが、私たちは、「空き家対策」をしているわけではないのです。
「空き家」というテーマを通して、地域を見つめなおし、地域の問題を地域の人たちが自分事・地域事として捉えることの大切さをお伝えしたいのです。
もし、夜の公園に子供が一人でいたら、「どうしたんだろう」と気になりませんか?
それは、自身が子供のころから
「暗くならないうちに帰るのよ」
「夜は一人で歩いたら危ないでしょ」
と教えられてきているから、そして、地域の公園で夜に子供が一人でいたら他人事ではないからです。
そうやって、地域の環境が地域の人々の手により守られていくのです。
そのような意識や気づきを空き家スゴロクを通して思い出していただきたい、高めていただきたい。
そんな思いが込められています。
ワークショップが終わり、参加いただいた方々のお帰りの際に
「空き家って、空き家所有者の問題かと思っていましたが、自分事として考えないとダメですね」
「地域のことをちゃんと考えていきたいと思います」
というお言葉を頂くと、涙がこみ上げてきます。
空き家スゴロクワークショップの様子はタガヤスYouTubeでご覧いただけるので是非!
この空き家スゴロクは、残念ながら大量生産しておらず、販売用にも作っていないので、今のところご要望にお応えすることができないのですが、
現在、販売できるように作り直しています。
もうしばらくお待ちいただければと思います。
合同会社鍬型研究所 代表社員
一般社団法人タガヤス 代表理事
小沢 理市郎
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