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リサーチの技術番外編 日常とまちづくりにおける主語の使い分け

 日常会話での主語と職業病 私には妻と子供二人の家族がおります。 それぞれが忙しく、なかなか落ち着いて会話する時間もないのですが、 食事の時間はできるだけ一緒にするようにしています。 何気ない家族の会話が展開されるわけですが、 私の頭の中では、常に「え?誰が?何を?」がリフレインされています。 恐らく、私以外の家族はなんら疑問を持たずに、なんのストレスもなく、 それぞれ何を話しているのかを理解していると思われます(たぶん) 私も一応は理解しています 特に何も意識しなければ特段の不都合はないのです。 しかし、一旦気になりはじまると止まらなくなるのです。   「え?誰が?何を?」 とうとう我慢できずに、妻と子供の話に割ってはいってしまいます。 「それ、主語はなに?」 その瞬間、家族から冷ややかな目線が浴びせかけられるわけです。 家族との会話では、既に登場人物や場など、ある程度共有済みのシチュエーションを前提にされることが多いですし、それぞれの家族のキャラクターも理解しあっているので、 「これは、この子が言ったことではなく、友達が言ったことだな」 と容易な判断のもとに話が展開されます。 ですから、主語を明確にしなくても会話は不自然なく成立し、いちいち確認するまでもないのでしょう。 (こんな風に家族の会話を分析しようとすること自体が職業病なのだと思いますが笑) 一方、私の場合、家族と共有できているシチュエーションが少ないこともあり、家族のキャラクターは理解していても、他の登場人物のキャラクターまではわからない… さらに、そこに加えての職業病です。 黙って聞いていれば概ね理解できる会話でも、思わずきいてしまうのです。    「それ、主語なに?」と。 仕事における会話の主語 私の仕事は、コンサルタント・リサーチャーとしての調査・研究 まちづくり会社としてのまちづくりの実践 の二つがあります。 この時ばかりは、家族との会話脳からガラッと仕事脳にかわります。 リサーチャーの仕事して重要なこと。一言でいえば、    言う方、聞く方、それぞれでミスリードできない ということです。 客観性・論理性が重要視されますので、 「誰が、何を」が明確になっていなければ、話しかけている相手にミスリードさせますし、 私の話している相手の言葉を私がミスリードしてしまうのです。 もし、ミスリードが...

情報を伝えることとは 松本市空き家バンクでの挑戦

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 情報を伝えるとは 前職、前々職では、まさに情報そのものを扱っており、大量の情報を集め、ああでもないこうでもない、とさんざん情報を料理した上で、出来上がったディッシュを武器として戦ってきました。 毎日が大量のデータと機微な情報との格闘でした。 しかし、今思い返すと、その情報を伝えたい先、伝えたい人の顔をイメージしたことはなく、できた料理をクライアントのもとに届ける。それが仕事だったように感じます。   たくさんの報告書を書きました   たくさんの原稿も書きました。   たくさんの講演も行いました。 しかし、誰に向かって文章を書いていたのか 誰の顔を見て話しをしていたのかも思い出せません。 思い出せないというか、当初から「読み手の属性」「聞き手の属性」しか意識していなかったのです。 しかし、それはそういう世界である、というだけの話であり、否定するものではありません。 今の私は、というと、ワークショップにお集まりいただいた人たちのお顔は鮮明に覚えていますし、何を伝えようとしたのか、何をお話したのか、どのような人たちがどんな反応をしたのかも覚えています。 情報を伝える、という意味ではどちらも必要な職種職能、行為であり、伝えたい情報によって、伝え方が異なるだけなのかもしれません。 情報を伝えるうえで大切にしたいこと 今の私の立場として、情報を伝える上で大切にしていることがあります。 それは、情報を単に「届ける」のではなく、「脳にしみ込ませること」です。 今は本当に情報量が多い時代です。 スクロールしながらで情報を追い、必要な情報を拾う習慣ができあがっています。 SNSってすごいですよね。発信した情報が端末の数だけ拡散できるわけですから、、 残念ながら、私たちが発信する情報、お伝えしたい情報は、画面スクロールによって視界から消えてしまう類のものです。 ですが、一人でも多くの人たちに伝えたい。脳にしみ込ませたい。 そのために、一人一人の顔が見えるワークショップを開催しています。 一人一人の顔を見ながら、伝えたいことを真剣にお話します。 そこで、参加いただいた方の脳に少しでもしみ込めば、それがその人の言葉の強さと深みにつながり、その人から地域の多くの人たちに拡散されると信じているからです。 松本市空き家バンクでの挑戦 私は、嘗ては全国版空き家空き地バンクをはじめ、いくつか...

社会課題、地域課題とはなんだろう?私たちの取組みの本質~意識の伝播~

 社会課題・地域課題とはなんだろう 今の世の中、社会問題と言われることがあちらこちらに山積しており、 いったい何が優先なのか、何から考えていけばいいのか、私たちにできることはなんなのか 考え始めるとキリがありません。 子供の頃、宇宙の果てとはいったいどうなっているのかと考え始めて 夜も寝むれなくなった時に近い感覚です。 まず、私たち一般市民が日常生活でも実感として捉えられるものとしては、身近な地域課題があげられます。 日常生活の中で感じられる地域の変化、日常の暮らしの中で感じられる不安。 私たち鍬型研究所とタガヤスでは、そのような地域課題の中でも「空き家問題」に焦点をあてて取り組んでいるわけです。 ここでは、わかりやすくするために、私たちの取組みを通して、地域課題というものを考えていきます。 目に見える地域課題、目に見えない地域課題 最近、空き家が増えてきたよね。。。。 これは、私たちが実施する「空き家まちづくりワークショップ」にご参加いただいた地域の皆さまがおっしゃる言葉です。 私たちのワークショップでは、空き家所有者の方だけではなく、地域にお住まいの一般の方々が参加対象となりますが、告知をしてお集まりいただいた皆様は、「空き家」というテーマに一定の関心がある方、または地域の顔役の方々が多いので、やはり地域の変化は敏感に感じ取っています。 しかし中には「あー、言われてみれば、確かに増えてきた感じがするね。」 という方もいらっしゃいます。   空き家が増えた   〇〇さんの隣が空き家になった という具体的な事象は、目に見えてわかるため、それを「地域課題」と捉えやすいのも頷けますし、私たちのワークショップへの参加を通して「地域課題」として認識いただければ、対応の糸口も見えてきます。 しかし、地域課題の本質とは、 具体的に起こって目に見える事象を指したものではなく、 それを「地域課題」と認識できていない地域の状況にあると考えています。 地域課題の解決には課題意識の伝播が必要 課題認識があれば、その課題を解決する方向に進めることができます。 しかし、課題認識がなければ、その課題は益々顕在化し、手遅れになる可能性もあるのです。 選挙に行かない若者もその一例かもしれませんね。 私たちのワークショップでは、具体的な空き家をリノベーションしたり、需要者とマッチングしたりす...

鍬型・タガヤス、第二期を終えて 人の手でタガヤス会社を人の手が救う

 あっという間の二年間 組織を退任し、独立をしたのが丁度2年前の今頃でした。 それまでのリサーチ&コンサルティングの仕事を、より地域に根差して丁寧に行う理念のもと、5月に鍬型研究所を設立し、その翌月にタガヤスを設立しました。 鍬型研究所の「鍬」は農具の鍬を意味しています。 機械ではなく、手に鍬を持って、地域を丁寧にタガヤス。 つまり、   鍬=リサーチ・コンサルティング機能=Think   タガヤス=実践的まちづくり機能=Do の関係にあるのです。 理想はそれとしてありましたが、組織を離れ、果たしてオノレの力で歩き続けることができるのか。 何度も事業計画を見直し、クライアント掘り起こし表を見直し、眠れぬ夜を過ごしました。 人の手でタガヤス会社を人の手が救う 独立したはいいものの、当然ながらすぐに仕事があるわけではありません。 そんな時、メッセンジャーの通知が。   「紹介したい人がいるんだけど、あってみませんか?」 とか   「こんなことやりたいんだけど、相談に乗ってもらえませんか?」 など。 うれしかったですね…本当に。 放っておけば、タガヤス力も失ってしまうような人間に、一緒にタガヤしてくれる人達、タガヤさせてもらえる地を与えてくれたのです。 温めていたアイディアはたくさんありました。それをカタチにしてご案内したところ、多くの方に共感いただき、なんとか二期目を終えられたのです。 タガヤスのメンバーは、皆さんご自分の会社をお持ちです。もしくは個人事業主です。 ただでさえ忙しい中、タガヤスの活動に参加いただきました。感謝しかありません。 第三期はこんなことをします 第三期はいろんな意味で勝負の年だと思っています。 第二期までは、それまでに頂いたご縁により助けて頂きました。 第三期は、独立した後の2年間で、どれだけ良い仕事ができたか、人を大切にできたかが返ってきます。 また、鍬型・タガヤスというブランドをしっかりとした形にしなければならない年でもあります。 そんな中、幸いなことに、ある古民家のオーナーをご紹介いただきました。 これは、独立した後にご縁をいただいた方からの紹介だったため、ある意味、鍬型・タガヤスの2年間が報われたのかな、とも思っています。 今期は、ご紹介いただいた素晴らしい古民家を拠点として、私が理想とする不動産の再生、そしてまちづくりを行ってい...

空き家利活用の良い事例を教えてください? 機能×空間×時間

 空き家利活用の良い事例を教えてください。 これは、前職の時、そして今でもとても多い問合せの一つです。 主に自治体の皆さまからのリクエストが多いのです。 以前は、 「わかりました。どんな事例をお探しなのですか?少しお話をお聞かせください。」 と、できるだけ先方の問題意識を引き出し、 できるだけ喜んでいただけるような事例をご紹介していた(つもりである)。 しかし、紹介した後に、たいていはこんなオチになる。 「でも、これって、この人がいたからできるんでしょ?」 「これは、うちには無理だよなあ・・」 はい。そうなのです。 もともと市場からドロップアウトしている空き家を再生しているわけですから、 地域にある、ありとあらゆる資源 事業者や係わった人たちの熱意、スキル の投入により、「良い事例」は生まれているわけですから。 地域の個別性 物件の個別性 かかわる人の個別性 その時、時代の個別性 など、個別性の集合体のようなものなのです。 よって、ある時から、「良い事例」というものをご紹介するのは辞めたのです。 ですが、問い合わせは依然として多い。 今の私はこう答えます。 「ご自身のまちの特徴や、利活用したい空き家の特徴をよく考えて、キーワードを幾つか考えてください。そして、ネットで検索してみてください。 今の時代、ネットには空き家利活用の事例はゴロゴロしていますから」と。 ここで大切なことは、きちんと地域の実情を振り返り、分析し、利活用のイメージを描き、キーワードを考えること、なのである。 これでヒットした事例が、その方、その自治体にとって、一番納得できる事例であるはずなのだ。 「オザワなら、隠し玉のとびきりの事例を知っているのではないか?」とご期待いただけることはうれしいのですが、そんなものはないのです。 機能×時間×空間 しかし、それだけではさすがに冷たすぎる。。 なにかお力になりたい。とコンサルタントの血が騒ぐのです。 とはいえ、私はシンクタンクの経営者であり、アナリストであり、コンサルタントです。 自分の手で空き家を利活用することもできませんし、その技量もありません。 しかし、確かに全国の何百という事業者の方々とネットワークがあり、常に情報が蓄積されていました。 ですので、自分なりに分析して整理していたのです。 一般的に市場からドロップアウトしている空き家というも...

自分の地域を見つめなおす大切さ

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 実はあまり意識をしていない地域の変化 私が代表理事をしている一般社団法人タガヤスでは、昨年、空き家スゴロクなるものを開発し、今年度に長野県松本市・伊那市、埼玉県9自治体で空き家スゴロクワークショップを開催しました。 ワークショップでは、まず、私の方から「空き家問題ってこう考えるのですよ」というお話を15分程度行った後に、1時間弱で空き家スゴロクを行います。 この空き家スゴロクは3枚のボードに分かれているのですが、すべて通して遊ぶと2時間以上かかってしまいますので、1時間程度のワークショップでは、「上流編」のボードを使用します。   上流編:空き家のことを地域で考える   中流編:空き家所有者の意識を変える   下流編:空き家対策からまちづくりへ       空き家といっても不動産ですから、需要と供給の両面があり、それぞれのストーリーがあります。しかし、この空き家スゴロクは、需要サイド、供給サイドの視点ではなく、 「地域の景観や環境を形成する住宅」 という視点から、地域の一般の方々に参加いただくものなのです。 空き家問題は、建築、不動産、相続、金融など様々な専門知識が必要となる場面がありますが、この空き家スゴロクはそのような知識を学ぶものではありません。 そのような知識は専門家にきけばよいのです。 この空き家スゴロクでは、参加者が居住する地域を見つめなおす機会を提供し、今どのような変化があるのか、地域として何を考え、行動に移せばよいのか、を考えて頂くものなのです。 サイコロを振って、チームのコマを進めていくのですが、まずは「地域の空き家は増えているのかな?」というお題に止まり、参加者全員で考えて頂きます。 するとどうでしょう。 今までそのような視点で地域を見つめなおす切欠がなかったのか、 「間違いなく増えてきた!」 とおっしゃる方もいれば、 「そういえば、〇〇さんの隣が空き家になったって話を聞いたな」 「あの家、ゴミが捨てられているな、と思ったら空き家だったのよ」 「そうだね、たしかに増えているね!」 と様々な発見や認識の芽生えが生まれてきます。 特に、さいたまのような首都圏の自治体では、社会増も維持され、世帯数も踏ん張っているので、普段は意識しないことでも、改めて自身の街を見直すと、様々な変化に気が付いていくのです。 そこで、ファシリテーターが解説を...

鍬型研究所の案件紹介とタガヤスの取組み(こんなことをしています)

 皆さま、あけましておめでとうございます。 毎年のことなのですが、今年こそは年賀状をちゃんと準備しよう、と思うのですが 結局、年末のバタバタから実家への帰省の流れとなってしまい、今年も年賀状を出せずでして、来年こそは!と思っております。 さて、早いもので、合同会社鍬型研究所、一般社団法人タガヤスも二期目の後半をむかえました。 これから3月末を目安に諸々の受託案件や事業のクロージングを行うことになります。 ここで、一旦、昨年までの取組みを振り返り、「こんなことをしています」を皆様にご報告したいと思います。 合同会社鍬型研究所の調査研究について 合同会社鍬型研究所は、その名の通り、「鍬」を意味しており、地域や産業などの土壌を「タガヤス」ためのツールとしての位置づけとして、様々な調査研究を行っています。 私の専門が住宅政策、都市政策、不動産流通政策やそれに関連するマーケットになるので、自ずとそれに関連する案件が多くなります。 例えば、いくつかの案件をご紹介します。 都心マンション高騰下の住宅需要者行動 - 購入者の属性・購入断念した者の選択 - (「都心マンションの価格高騰がもたらす住宅取得行動の変化に関する調査」より) 都心マンションの高騰が続き、私を含めた一般庶民にはとても手の届くものではありません。物件価格が全体として高騰していますので、ラグジュアリーな物件を選ばなかったとしても、都心にマンションを購入するのはかなり難しい状況です。 しかし、都心のマンションを購入したい人はたくさんいるわけです。買いたくても買えない・・そのような人たちがどのような選択をするのか、について調査したものです。 今後の都心マンションマーケットや首都圏近郊のマーケット、そして新しい住宅双六の姿をうらなう上でとても興味深い結果が得られています。 上記、タイトルがリンクになっており、報告書が購入できます。 もしよろしければご覧いただければと思います。 空き家まちづくりPFSの導入可能性の検討 このテーマでは、複数の民間企業様からご依頼を受けました。 金融機関のシンクタンクで金融を学び、住宅・不動産政策やマーケットに関わってきた私としては、まさに専門領域を凝縮して取り組めるテーマです。 PFSとは、 成果連動型民間委託契約方式 (PFS:Pay For Success) のことを示しており...

出口だけをみないまちづくり 腸内環境を良くする

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 前回の投稿からずいぶんと経ってしまいました。 この間、一般社団法人タガヤスにて開発した、空き家スゴロクのワークショップを各地で行い、たくさんの反響をいただいております。これも是非ご紹介したいのですが、現在、ワークショップの様子を動画として編集していますので、しばらくお待ちください。 出口だけをみてしまいがち これは本当によくあることなので、特に、地方自治体の政策担当の皆さまには是非読んでいただきたいのですが、書き始めると長くなりますので、まずはこちらをご覧いただければと思います。 理想のライフスタイルを求める二地域居住の可能性と課題   こちらは、ライフルホームズプレスに寄稿した記事になります。 広域的地域活性化基盤整備法の一部が改正されて、二地域居住推進体制が強化されました。 この法改正を受けて、地方自治体は二地域居住の推進に向けたアクションを起こしやすくなるわけですが、二地域居住により人を集めることを目的としてはいけない。それはあくまでも手段であって、目的は「二地域居住を推進することによりどんな地域づくりを行いたいか」にあります。ということを書いているものです。 これは、どんな施策にも当てはまることです。 私が最近かかわることの多い、空き家対策についても同様です。 空き家問題や空き家対策の話をすると、必ずと言っていいほど、利活用や流通の話になります。そのお話はわかりやすく目に見えやすいものですが、利活用や流通が可能となった空き家というものは、所有者の意志が伴い、利活用や流通が可能な環境が整ったものとなります。このような空き家は、たくさんある空き家のほんの一部であることをまずは認識しなければなりません。 腸内環境を良くするまちづくり 私は、最近、まちづくりを便秘や腸内環境に例えることが良くあり、自分でも気に入っています。 まちづくりの出口というものは、まさに無事に人体の出口までたどり着いたことを意味します。 しかし、私も稀ですが、便秘になることがあります。たまにではありますが本当につらいもので、どんなに力を入れても、水を飲んでも、繊維質をとってもなんともならないので、ついつい対処療法的に薬を飲んでしまいます。 するとどうでしょう。あっという間に出口までたどり着いてくれるのです。 しかし、その状態は一時的なものであり、また体調を崩すと便秘になって...

まちづくりの効果をどう測るか

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まちづくりの効果をどのように測るのか これは、私たちが長い間、問いかけられてきた課題です。 今現在でも、明確な答えは持ち合わせておりません。 まず、このことを考える際に、効果測定の対象となる「まちづくり」とはいかなるものか、それをパリッとさせる必要があるのですが、それがどれだけ難しいかは容易に想像がつくでしょう。 まちのゴミ拾いをしても、まちづくりと言えるでしょうし、面的な開発をしてもまちづくりなわけです。  そうなると、アクションの特性や、アクションが行われている場所の地域特性を踏まえて、個別個別に測定の仕方を考えていくことになるわけです。 それは仕方がないとしても、それぞれでまったく異なる方法により、異なるスキル技術により行われていたのでは、比較することもできません。 そこで、なんとか考え方くらいは整理しておく必要があるよね、ということで、これまでもいろいろ研究がされてきたわけで、現在もされているのです。 私は、不動産を切り口とした話の展開が得意なので、まちづくりも不動産の利活用を切り口としたまちづくりを例にあげて考えてみたいと思います。 例えば、こんなことを想定してみましょう。 ************* ある地域の空き家が魅力あるカフェになり、そこで提供されるパスタがとても美味しく、スタッフの若者がとても魅力的であり、遠方からも人が訪れるようになる。 それを起爆財として、周辺のお店もきれいにリノベーションされ、空き家も次々に利活用される。 ************ この効果として、一般的に考えられるのは、観光客の増加や消費額、関係人口の増加、そして、空き家のリノベーションで地域におちる投資額などがあります。 リノベーションがされればされるほど、地域にお金がおちていくわけです。 しかし、ここで冷静に考えてみます。 このように点のまちづくりが面として展開されている効果としては、地域の魅力向上がもっともわかりやすいでしょう。 では、その 地域の魅力向上とは何も持って測ればよいのか。 例えば、観光客を呼び込むのに、 「地域の魅力」の量、「建物の魅力」の量、「サービス」価値の量、「人の魅力」の量があるとします。 一人を呼び込むのに、それぞれがある一定量が必要であるとします。 これを一人を呼び込むための原単位と考えます。 点のまちづくりが面に広がり、集積していく...

社会的インパクト不動産について考えてみる その2 ロジックモデルとは??

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  前回のブログ では、社会的インパクト不動産の概要について、国土交通省のガイドラインをもとに、ESGやSDGsとあわせて解説しました。 最後にロジックモデルについて少し触れましたが、本稿ではそのロジックモデルについて解説してみたいと思います。 少し長くなりますが、お付き合いください。 ロジックモデルとは? ロジックモデルの解説は、各所で行われていますが、実務ベースで扱ってきた経験を元に、私なりの解釈による説明を行いたいと思います。 ロジックモデルは、社会的インパクト不動産のためにつくられた技術ではありません。 ロジックモデルという名称は使わなくとも、シンクタンクなどを中心に、日常に業務において調査研究を組み立てる際によく用いられています。知らず知らずにロジックモデルの考え方で仕事を進めている場合もあります。 ロジックモデルにはあるルールがありますが、基本的考え方としては、「これをするとこんなことが起こる」「こんなことが起こるとこんなことも起こる」「そうすると、徐々にこんな変化が生まれる」というように、何か行動を起こす、何かをつくることによっておこる変化や影響を論理的な思考により考えて、フロー図の形で表現していきます。 政策を扱う研究所では、この政策をこの対象に投入すると、こんなことか起こって、こんな変化があって、こんな効果が生じるよね、と考えていくわけです。 それで大丈夫?ロジックモデル ここで疑問に思われる方がいるかもしれません。 「こんなことが起こって、だからこんなことが起こる、その関係を統計的に証明しなくてもよいの?」 もちろん、その因果関係を統計的に証明していければベストです。 それができれば、わざわざロジックモデルを作成する必要もないのです。 しかし、多くの場合には、起きた事象とさらに起きた事象のぞれぞれの量や変化を数量として捕捉していくことは困難であり、その関係性を統計的に証明するのはもっと困難なわけです。 だからと言って、勝手な思い込みや想定によってロジックモデルをつなげていくことはとても危険です。 言ってしまえば、そのプロジェクトに関わっている者や、そのプロジェクトの影響を受けるであろう人たちのほとんどが、「あ、そうだよね、その通りだよね」と納得できることが大切なのです。それが「対話」です。 その対話によって、ほとんどの人たちが納得できれば...

社会的インパクト不動産について考えてみる その1

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 社会的インパクト不動産とは 最近、この言葉について良く質問を受けます。 徐々に世の中に広まってきましたね。 ついつい、この分野については専門家っぽく書いてしまいがちで、、 せっかくフリーの立場になったこともあり、このブログでは自由な考えを書いてみようと思います。 まずは、社会的インパクト不動産の解説です。 こちらは、令和5年3月に国土交通省より 「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンス が公表されましたので、そちらをもとにご説明します。 そのガイダンスでは、 ””社会とともにある「不動産」には、企業等が中長期にわたる適切なマネジメントを通じて、ヒト、地域、地球の課題解決に取り組むことで、「社会的インパクト」を創出し、地球環境保全も含めた社会の価値創造に貢献するとともに、不動産の価値向上と企業の持続的成長を図ることが期待されている。(このような不動産を「社会的インパクト不動産」と定義する。)”” ””しかしながら、不動産が社会的価値向上に資するとの認識はまだまだ一般的とはいえず、企業等と投資家・金融機関との対話(資金対話)と、企業等と利活用者・地域社会等との対話(事業対話)の2つの対話が不可欠。”” と説明しています。 出典:国土交通省 この定義が公表されるに至った背景としては、有識者や実務家による「不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会」により検討が積み重ねられたきたのです。 その検討会の目的としては以下のように説明がされています。 ””少子高齢化の進展や自然災害の脅威への対応等の従来からの社会課題に加え、テレワークの進展等による多様な働き方・暮らし方等の新たな課題(展望)への対応が求められている中、投資家や金融機関においては、投資先や融資先に対してESGへの配慮を求める動きが拡大しています。これらの資金を活用して、事業者等による社会課題に対応する良質な不動産ストックの形成とそれに関わる多様な関係者の取組を促進するためには、ESG投資を不動産分野に呼び込むための環境整備を進めることが必要です。”” ここでESGという言葉が出てきています。この分野に近い方々にはおなじみの言葉ですが、聞いたことはあるがよくわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか? 似たような言葉でSDGsというものもあります。一体なにが違うのでしょうか? まずは...

子育て世帯の支援と移住定住策 わたしならこう考える

 歯止めがかからない人口減少 今月6月に「LIFULL HOME'S PRESS時事解説」に寄稿させていただいた。 テーマは 「全国的に少子化&高齢化が進み都市圏中心部にのみ人口集中 住宅需要の行き着く先は~時事解説」 冒頭の解説では以下のように触れられている。 ”2020年の日本の総人口は約1.26億人だが、5年で約3%減少していき、2050年には1.05億人と約2,100万人減少、2020年の83.0%程度の人口になると予測されている。合計特殊出生率:15~49歳の女性の年齢別出生率の合計が例年2.08前後で推移すれば、日本の総人口は増えも減りもしないとされるが、2023年は過去最低であった2005年および前年の1.26を下回ることが確実視されており、日本の人口減には歯止めが掛からず、併せて高齢化も直実に進む状況が続いている。” 大変な時代に突入しますね。 地方自治体の行政計画を見ると、「子育て支援」を謳ってはいない計画はないほどです。 子育て支援・・自分の経験を踏まえると 冒頭に紹介した時事解説でも書いているのですが、 ”出産及び子育てに必要なもの、欲しいものはなにか、ということを自分の経験も踏まえて大きくまとめると、一つはやはりお金。子どもが進学していくにつれ、覚悟の度合いが上がっていった。そしてもう一つは親族の手助けだ。私の両親は遠方に住んでいるため、妻の両親の近くに住まいを構え、出産以降、本当にお世話になった。我が家は年の近い二人の子どもだったため、その手助けがなければどうなっていただろうと思うほどである。” ”もし親族の手助けが受けることができない状況であれば、単独で踏ん張るか、知縁の手助けを受けるか、それに代わるサービスを購入するかになろう。そのサービスは一般的に高額であるため、共働きにならざるを得ない。” 子供が小さかった時は、私も働きざかりで、職業柄もあっていつも帰りは遅く、平日は妻が一人で踏ん張っていました。妻は週末になるとヘロヘロになってしまい、私も仕事の疲れが一気にでてしまうので、どうしても妻の両親の手助けが必要だったのです。 それがあってなんとか乗り切れた感じです。 子育て世帯が移住するシチュエーション 様々な自治体では、子育て世帯を呼び込もうとするあの手この手がうたれています。 その多くは、手当などの金銭的支援かと思います。 一...

空き家の数が増えました 数が増えることが問題?

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 空き家が増えた 5年に一度実施される住宅・土地統計調査(総務省)の速報値が発表されました。 この調査は、国内で唯一、日本の住宅ストック及び居住している世帯を調査しているもので、世で使われている空き家数とか、空き家率は、この統計を元にしています。 世の中的に、何と言っても注目されるのは空き家数。 調査結果が公表されるごとに、様々なメディアが取り上げます。 最新調査である令和5年調査の速報値が令和6年4月に報道資料として発表されました。 そこでは、 ---------------- ○ 空き家数は900万戸と過去最多、2018年から51万戸の増加、空き家率も13.8%と過去最高  ○ 賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家が37万戸の増加  ------------------ とのこと。 これまでは、一般の民家で売買にも賃貸にも出されておらず、別荘などの二次的目的にも使われていない、いわゆる「空き家」を統計上は「その他の住宅」として表示していましたが、令和5年調査から「賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家」と名称を変えたようです。 この方がわかりやすいですよね。 結果は、上記の通り、増えた、わけですが、減ることを予想していた人はいるのでしょうか。 様々な方法を駆使して、空き家の発生を抑制したり、利活用や除却を進めることは、ダイレクトに空き家の減少につながっていくわけですが、 人間の需要により建てられた家は、人間の寿命またはそれ以上の年月に渡って存在し続けます。 その家は、毎年、新規で供給されて(建てられて)いるわけです。 つまり、日本の住宅の数(住宅ストック数)は、毎年増加していくわけです。 令和5年の住宅・土地統計調査では、 ------------------ ○ 我が国の総住宅数は6502万戸(2023年10月1日現在)、2018年から4.2%(261万戸)の増加 ----------------- ということです。 一方、住宅に住む世帯数は、今後減少していきます。 家は増えていく その家に住む世帯は減っていく これは、どうしたって、空き家は発生し続けるわけです。 家は人間と一緒 家というものは、人間の需要、つまり人間の都合により建てられます。 建てられた家は、この世に同じものが一つもありません。複製することも...

Be water my friend 常に変化し続けること

 Be water  順応性を持つこと、変化し続けること 昨年の12月27日、他のSNSで同じようなことを投稿したのですが、 その日は、私が尊敬してやまないブルース・リーの誕生日でした 子供のころ、燃えよドラゴンをみて、脳幹に衝撃を受けたわたしは、 新聞紙を固くまるめてヌンチャクをつくり、猛練習をしては親の前で披露していました そのうち、ブルース・りーくんと呼ばれるようになったのです なぜこの歳になってまで、どっぷりとはまっているのかというと 彼は、映画スターであると同時に、偉大な武術家であり哲学者であるからです そして、私の人生に大きな影響を与えてくれたからです もともと詠春拳を習っていたブルース・リーは、その後、振藩功夫(ジュンファングンフー)を経て、截拳道(ジークンドー)を体系化しました ジークンドーは、ボクシングとフェンシングをベースとした超実践的な野戦を想定した武術であり、テッド・ウォン氏に継承され、現在の継承者は日本人のヒロ渡邉氏です このあたりを書きだすと、文章が永遠に止まらないのでこのくらいにしておいて 本題のBe waterである。 “Empty your mind. Be formless, shapeless like water. If you put water into a cup, it becomes the cup. You put water into a bottle and it becomes the bottle. You put it in a teapot it becomes the teapot. Now, water can flow or it can crash. Be water my friend.” - Bruce Lee これは、ブルース・リーの言葉である 頭を空っぽにしろ 水のように形をなくせ 水をカップにそそげば、水はカップの形になる ボトルにそそげば、ボトルの形になる ティーポットにそそげば、ティーポットの形になる 水は静かに流れることもできるし、ものを砕いたり壊したりもする。 友よ、水になれ これは、彼のジークンドーの哲学そのものである 人生、うまくいかないことだらけだし、想定外のことにもぶち当たることもしばしば そんな時、初志貫徹で挑むことも当然ある しかし、うまくできなかった時に自...

第一期を振り返り..脱サラから起業に至るまで 自分らしく生きる 自分の市場価値は

 そうだ、独立しよう そう思ったのは、独立する1年以上も前のことでした。 大学を卒業してから、コンサルタント、シンクタンク業界に身を置き続けてきた私は 市場の中で、自分の価値がどれほどのものなのか それをずっと自問自答してきました 会社が持つ集積の力、ブランド力、 それを自分から剝ぎ落した時、オノレの価値は、力はどれほどのものなのか 誰も見向きもしないのか.... 一方、シンクタンク業界も徐々に、いや急激に、かもしれません 働き方が変化していきました もう20年以上も前でしょうか 同僚とともに、夜食を食べにいき、オフィスに戻って仕事をする クライアントから急なお誘いがあり、居酒屋まで出かけた後にオフィスに戻り仕事をする そんなことが日常でした 当然ながら帰りもほぼ毎日が終電で、土日もふらっとオフィスに顔を出し そのまま仕事をして帰る オフィスは不夜城化していました つまり、生活と仕事の境目がなく、夜寝ていても夢の中で分析フローを考えていたり しかし、働き方改革やコンプライアンス時代の到来により 生活と仕事を明確に分離することが規則として厳格に求められてるようになりました 私たち、コンサルタント・シンクタンクの古い体質の人間としては とても生きにくい世の中になったのです そして、私の最終キャリアは、 規則として社員に厳格さに求める側の役員となったわけです このことを否定しているわけではありません 時代潮流として、組織としてあるべき姿としては当然のことです しかし、私にはまだまだやりたいことがたくさんあった そして、自分の価値を自分の力で確かめたかった 幸いなことに、私が最も信頼する後輩に研究現場は任せることができたので 経営陣に退任の意志をお伝えしたわけです 自分らしく生きる 2023年5月に鍬型研究所 同年6月に一般社団法人タガヤスを設立しました これは、独立したらこうしよう、と決めていたことです しかし、同時期に2つの会社を設立して軌道に乗せることは、想像以上に険しい道でした 経費の精算や税務処理、その他会社経営に関わるすべての業務を行いながら リレーションを広げ・深め、仕事を獲得して施工する 忙しさからすれば、過去最高だったと思います 私は、前職を退任する頃、適応障害に悩まされ、投薬もしていました しかし今は、快食快便、血液検査も過去最高のデキ 物音に過...

住生活基本計画と空き家特措法と空き家等対策計画

 空き家特措法から10年 ~管理の重要性~ 空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)が制定されてから10年が経過しました。 昨年には一部改正が行われ、「管理不全空家」という概念も登場しました。 行政サイドとしては、政策的にモニタリングしなければならない対象が増えたわけですが、この「管理不全」をなくす、ということが基本的な空き家対策ですので、政策的に位置づけられたことは大きな一歩だと感じています。 利活用が行われる空き家 除却が行われる空き家 この出口の2つは、空き家の中のごく一部です。 利活用が行われるには、物件のコンディションに加えて、所有者の意志や事業者の参画など様々な条件が整う必要があります。 また、除却についても行政代執行まで踏み切るには、たくさんのステップが必要となります。 つまり、多くの空き家は空いている状態で存続するわけです。 これらがそのうちに周辺環境に悪影響を及ぼしたりするわけですが、 思い切って言ってしまえば、どんなに空き家が増えようとも、きちんと管理されていれば、外部不経済とも言われる悪さをする空き家は生まれてこないのです。 管理不全空家をなくす。これが一丁目一番地でしょう。 行政の空き家等対策計画 いつ・誰が、が大切 その空き家特措法に基づいて、全国の行政は自らの行政区域を対象とした空き家等対策計画を策定しています。 全国すべての計画をみたわけではありませんが、どうも計画としてのリアリティを感じないのです。 たまに「あれ、このフォーマットみたことあるぞ」という計画も散見されます。 空き家対策には、上記したように、利活用や除却と言った出口以外にも、所有者や地域の意識を高める、管理不全空家をなくす、と言った重要なテーマがあります。 多くの計画では、これらについて、「課題」として列挙されていますが、 今すぐにやるべきことはなにか いつの時点を見据えて何から手をつけるのか それを誰がやるのか と言った、時系列的な視点と、主体の視点が欠けている計画がほとんどです。 ご相談で多くいただく内容として「何から手をつけていいかわからない」というものがありますが、計画が策定された段階でも、「何から手をつけていいかわからない」状態になっているのです。 空き家に関する対策計画は、計画モノの中でもかなり難易度の高いものです。 初期の計画ではこのようなカ...

タガヤスとアキヤジン

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 まちづくりの意識をはぐくむ 地道ながらも、地域に根付いた空き家対策まちづくりを行う仲間たちが集まってできた組織 それが「タガヤス」です。 任意団体から一般社団法人に体制を移行し、本格的に活動をはじめました。 そのHPがようやく完成しました。 タガヤスが行うまちづくりでは 地域の方々に少しでもまちづくりの意識を持っていただく そして、それを高めていただくことをテーマとしています。 しかし、それを座学で行おうとすると、ハードルが高い。 そして、意識を持っていただきたい方々へ届けることが難しい。 そこで、私たちは、地域の方々、そして親子で遊び楽しみながら、 いつの間にか、空き家対策まちづくりに触れ、学べるツールを開発しました。 それが、「空き家スゴロク」「空き家カルタ」です。 そして、空き家対策を行う行政の方々や空き 家対策を詳しく学びたい方々のために作成したものが「空き家対策一気通貫マニュアル」です。 心をこめてつくりあげました。 このツールは、地域のワークショップや催し物などで活用すると効果的です。 是非、問い合わせフォームからお問い合わせください。 タガヤスHP  https://tagayasu.or.jp/ 地域に根付いた空き家対策情報発信プラットフォーム 私たちタガヤスの本拠地は埼玉県にあります。 私たち以外にも地道ながらも空き家対策まちづくりを行っている事業者や団体、個人の方々はたくさんいらっしゃいます。 そのような活動は、地道ではありますが、地域を優しく照らし続けています。 今の時代だからこそ、そのような活動に取り組む方々が社会的に評価されるべきだと考えています。 このような考えのもと、タガヤスでは、株式会社地域デザインラボさいたま(埼玉県さいたま市)の協力を得て、埼玉県下で空き家対策に取り組む事業者や団体、個人の皆さまの情報発信プラットフォーム「アキヤジン」を開設しました。 毎年、少しずつではありますが、地域を優しく照らす取組みを取材し、情報を発信していきます。 この取組みにより、空き家対策まちづくりの輪が広がっていくことを期待しています。 是非ご覧いただければと思います。 アキヤジンHP  https://akiyazine.net/ 弊社、鍬型研究所は、リサーチ機能・研究機能 タガヤスはDOTANK機能 この両輪でこれからも地道ながらも活動...

リサーチの技術 その6 事例から学ぶこと 事例の個別性にとらわれるな

  事例の個別性、特殊性にとらわれるな! 社会問題、地域問題に対しての対策を考える際には、その問題の構造を分解して分析し、それを再構築することについては リサーチに技術 その2 で解説している。 ここでよく問題となるのが事例の取り扱いである。 よくこんな議論がある。 空き家はなぜ生まれるのか、空き家が発生しない対策が必要だ とのお題に対して、 親の家を相続した相続人が遠方に住んでいるケースがある とか 住み替えを行って前の家を放置してしまっているケースもある とか こんなケースもある あんなケースもある といろいろな事例をあげて解を導こうとするのだ。 いろいろな個別性をみることはある意味楽しいし、話題性もあり、記事にもなりやすい。 しかし、これらのいろいろなケースというのは、空き家問題が大きな社会問題になる現在だけの現象ではなく、人々が通常の営みや経済活動を行っていれば起こりえることであり、一つ一つにそれぞれの背景がある。その背景を深堀すれば無限の個別性が生まれる。 その個別性にとらわれてものを考えると、どうなるか。 「考えること、やることがたくさんあって、とても難しい」 となるわけだ。それ以上は先に進めなくなる。 このような 個別性に対してものを考えると、その結果は個別性に対する対処療法 にすぎず、根本的な対策とはならない。 もちろん、個別性の強い個別課題への対策が求められた場合には、 その個別性をできるだけ深堀すればよい。 事例から何を学ぶか 個別性が凝縮されている 個々の事例に横ぐしをさし、普遍的な共通項を抽出 するのだ。それを通して、世の中で、この地域で何が起こっているのか、なにが問題なのかの全体像を把握しようとすることだ。 だから、事例情報はたくさんあるとありがたいのだ。 しかし、決して個別性を見るためではない。共通項を抽出するために必要なのだ。 そして、 この共通項に対しての対策を考えることが優先 されるのだ。 先ほどの空き家の話を例にとると 共通項は、「結果的に空いている状態になること」であり、その背景に個別性があるにすぎない。 空き家になる一つ一つのケースに有効な対策を打ったとしても、 そもそも、家の数よりも、住む世帯の数が少ないので、どちらかが埋まれば、どちらかは空くのである。根本的な解決にはまったくならない。 この「空いている状態」を問題...

どう行動すべきか

 あけましておめでとうございます。 kuwalabは本日から仕事を開始しております。 しかし、たいへんな新年の幕開けとなりました… なぜ、この日に… 私の親兄弟が新潟市内に住んでいるため、まずはLINEでつながっている兄に連絡し、状況を確認しました。 親は80歳を過ぎており、電話の呼び出し音も聞こえにくい状態なため、近くに住んでいる兄を通して状況を確認しました。 なぜ、親に直接電話をしなかったか、というと、 津波警報が出ており、避難の必要性があったため、直ぐに兄から親に連絡が入ることを想定し、こちらからの通話で通話中の状態になることを回避したかったからです。 大規模な津波の被害は各地で免れたものの、その被害は甚大なものでした。 こんな時、リアルタイムで情報を見るにはSNSが一番早いので、Xで様々な投稿を見ておりました。 すると、影響力のあるインフルエンサーや有名人が、一般車両に物資を積んでボランティアに向かうとの投稿が目に入りました。 勇気ある行動 今は入るべきではない 賛否両論の書き込みがされています。 しかし、インフルエンサーや有名人は、”何もしないやつが文句をいうな”、と現地に向かったわけです。 なによりも、驚いたのは、 他に者たちにも、”ボランティアとして現地に向かおうよ”、 と被災現場へ向かう旨を誘導していたのです。 当然ながら、現地ではボランティアの受入れ態勢もできておらず、 救命、消防、道路復旧の車両が最優先の状況です。 また、ガソリンも不足しており、土砂崩れなどの二次災害の危険性もあるわけです。 インフルエンサーや有名人の呼びかけに呼応し、被災現場に向かった一般人が二次災害にあう、車が故障して緊急車両の妨げになる、渋滞を巻き起こす、現地で対応する行政職員の手を煩わす、窃盗団などの車両を紛れ込ませる、などの悪影響は考えればわかるはずですし、なによりも、現地から”今は一般のボランティアはこないでくれ”とアラームがでているわけです。 それでも、”何もしないよりまし”論を通してしまうところが。。 ボランティアを否定しているわけではありませんし、 勇気ある行動とその行動力はたたえるべきことだし、 少しでも物資が届けられたところは救われたでしょう。 しかし、現地が受け入れできないとアラームを出している中、 他の者の被災現場入りを誘発するのは、やはり間違っ...

移住・定住を考える その3 今の時代、「定住」をどう捉えるか

  今の時代、「定住」をどう捉えるか であるが、一般的には生涯に渡り住み続けることをイメージするであろう。 つまり、終の住処も移住先で求めることになる。 しかし、そうなると、 その2 で述べている住宅双六の崩壊、ライフスタイルの多様化、価値感の多様化が問題となる。 住替え行動が標準化できず、多様性を持って行われることを考えれば、移住してきた世帯をそのまま定住を促すことは難しいということは容易に想像できる。 そうなると、ターゲットとしては以下の2つとなる。 ①終の住処を求める高齢者世帯 ②ライフステージの変化を止めてそれをあがりにしようとする世帯 この2つであれば、移住した後に、住替えを行おうとする動機が生まれる頻度が低いため、定住に繋がる可能性が高い。 しかし、そうなると、出産し、子供を育てて営み続けようとする世帯が大きく抜け落ちてしまうことになる。 この属性の人たちは、更なる住替えを行おうとする動機が生まれる頻度が比較的高い人たちである。 そうであれば、生涯に渡って住み続けるという定住の概念を変えて、 「ある特定のライフステージの期間は住み続ける」 と割り切ってしまう考え方である。 例えば、「子供を出産して義務教育を受けている期間」などである。 発想を変えれば、それ以降のライフステージに突入した際には、逆に住替えがしやすくなるような支援を行う方が居住地選択として選択されやすいのではないかと考えるのである。 つまり、「定住」というものを、特定の属性を持った世帯にターゲットを絞り、特定のライフステージの期間に限定して住み続けてもらうこととして捉えれば、政策も打ちやすくなる、という発想である。 さらに、住宅ストックの視点で捉えれば、あるライフステージの期間において居住が行われ、正しいメンテナンスを促すことにより、市場性が保持された状態で、次の移住者を迎えることができることになる。 この考え方に立てば、需要と供給のマッチングもしやすくなる。 空き家の利活用についても、ターゲットを明確にできさえすれば、官民連携体制により、計画的な利活用に誘導しやすくなる。 ライフスタイルの多様化 とか 価値観の多様化 と言われている中、「定住」の概念も変えていく必要があるのではないでしょうか? kuwalab小沢理市郎...